著者であるニコラス・G・カーが、ダイヤモンド・オンラインというウェブのインタビューにこたえている。
「英語の原題は“The Shallows”だが、“バカ”というよりも人間を“浅薄”(shallow)にするという意にちかい。(インターネットは)物事について創造的に、複雑に、概念的に考えることを、(人間に)できなくさせる傾向がある、と言っているまでだ」。
「私がこの本で言いたかったことは、とにかくテクノロジーのプラスの面ばかりを見るなということだ。コストやマイナス面にも注意を払え!ということだ」。
「われわれの思考の豊かさは、自分の脳の中にあるつながりから来るのであって、脳の外に存在するネットワークにあるつながりから来るのではない」などと語っている。
350ページもの大部を活字がびっしりと埋め尽くした、かなり読みでのある本だ。この本の存在自体が、こま切れのウェブ文書が氾濫することへの、印刷されたテキストによる抵抗にもみえる。
著者は述べている。
「紙からスクリーンへの移行は、書かれたものをいかに読み進めるかといった、読み方を変化させるだけではない。テクストに対する注視の程度や、テクストへの没頭の深度にも影響を与えるのである」と。