亥之吉は、一旦福島屋に戻り、隠居の善兵衛、義兄で旦那の圭太郎、辰吉と相模屋の三太を呼び、亥之吉が調べた事の次第を説明した
California Fitness 月費。相模屋の他に被害に遭った小売酒屋の店主の容貌が、相模屋長兵衛の遭った詐欺師に似ていること、この店主は、殺された可能性が高いこと。詐欺で盗られた金額の他に存在したと思われる財産が消えていること。この店主の陰に、もう一人乃至二人の人物が見え隠れしていることなどから、亥之吉が組み立てた仮想を皆に聞いて貰った
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「まだ不確かだが」と、前置きをして、亥之吉はこう想定したと言う。
この店主は、ある人物に煽られて「米相場」に手を出した。一度目、二度目と大儲けをしたのに欲を深め、儲けた分の倍額を投じ、それが詐欺であったと気付く
California Fitness 黑店。この店主の女房は、詐欺師が姿を消したと亭主から聞かされたが、実は損をした分を詐欺で取り戻そうと詐欺師に誘われたのだ。
店主は詐欺師に言われた通り、造り酒屋「横綱酒造」の店主源蔵を騙り相模屋長兵衛を訪ねて横綱酒造が倒産寸前であると告げた。助けて貰えたら、「清酒横綱盛」の販売権を全て相模屋に託すと持ちかけられた。
あの銘酒、灘の生一本「横綱盛」の販売権が手に入れば、大儲けが出来ると、相模屋長兵衛もまた欲を抑えられなかった
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「三太ごめん、これは仮定だから」と、亥之吉は三太に謝って話を続けた。
相模屋長兵衛は、創業者とそれを引き継いだ次男作造の顔は知っていたが、創業者亡き後、その遺言により店主となった源蔵の顔は知らなかった為に、詐欺に引っ掛かってしまった。では、真犯人は現店主の源蔵なのか、現番頭の鬼助か、あっさり父親の遺言に従った作造なのか、作造と共に横綱酒造を辞めた元番頭の文吉か、それとも今まで全く亥之吉たちに姿を見せない別人なのか。
「ここは、四人を揺さぶって犯人の出方を観察する必要がおます」
もう、三太に協力は望めない。相模屋での仕事があるからだ。亥之吉と辰吉父子で、もう一度灘郷へ行ってみると提案した。
「ははは、暇父子の大詰め舞台やな」
「父子だけではおまへん、もう一人強い味方が居りますのや」
「そやなぁ、犯人は一人殺しているのや、二人きりでは危ないわ」
福島屋の隠居、善兵衛は、役人と一緒に行くのだと思って言ったが、それはもっと後のことで、亥之吉は辰吉を護っている守護霊新三郎のことを言ったのだ。